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私の起業ストーリー|まえがき

2017年7月26日

みんな自由で、違っていい

ものごころついた頃、私はアフリカのスーダンという国にいました。家には両親、傍らには現地のベビーシッターさんがいて、毎朝自宅の玄関前をヤギやロバの大群が駆け抜けていく光景。

これが、私が初めて認識した「世界」です。

▼1〜2歳のころ。スーダン・ハルツームの自宅近くで。

その後、オランダ、ポーランド、ケニアと渡るのですが、見てきたのはずっと「みんな違って当たり前」という世界。

「この世界には、いろんな人がいて、いろんなことをしている」

「世界は広くて、温かくて、おもしろい」

そんな世界にドキドキワクワクしていました。

▼オランダ・ハーグの幼稚園で。いろんな子がいるのが楽しかった。

ところが、高校受験に合わせて帰国した日本では、何やら様子が違いました。

海外帰りの私。

日本の流行りがわからない私。

「私はこう思う」を発言する私。

その度にザワザワと沸き立つ不穏な空気。

多感な思春期だったこともあり、「どうやら みんなと同じようにしないといけないらしい」と察するまでに、時間はかかりませんでした。

処世術として、自分の本心に気づかないふりをし、周囲に埋もれるように目立たずに過ごしているうちに、いつしか私は、場の空気を読んで、周囲の期待を鋭く察知して応える優等生キャラになっていきます。

これが私の暗黒の時代の始まりでした。

それは、社会人となって、一層強固なものになっていきました。

上司の期待、お客様の要望、同僚の状況をとても敏感に察知することで、評価され、必要とされる人になっていきます。

ところが、私はちっとも幸せではなく、心は常に疲弊していて、そのストレスが「体調不良」や「病気」となって現れてくるようになりました。

社会人経験を重ねるほどに、組織や立場としてあるべき態度・発言を求められ、規律やルールにがんじがらめになっていく。

耳を傾けたい声や、目を向けたい課題があっても、組織としては取るに足らない物事。

組織で働く上でのそんな「当たり前」すら、私にとっては苦痛で窮屈なものになってしまい、会社員として働くことに、どうにもこうにも折り合いがつけられなくなっていたのです。

そんなタイミングで頭をよぎったのが、新卒で就職するときに、おぼろげながら抱いた「いずれは組織に属さず仕事がしたい」という想いでした。

私は、自分の想いや考えを、誰に遠慮することなく発信したい。

良いものを良いと言いたい。

好きなものを好きと言いたい。

何よりも、マジョリティやメインストリームからこぼれ落ちてしまう、小さいけれど光るもの・大切なものを拾い上げて、スポットライトを当てたい。

声にならないものに耳を傾け、目に見えないものに形を与える。

そんなところにこそ、私が幼い頃に見てきた「多様性」の芽があるのでは?

35歳。

こうして、まずは組織を離れて「フリーランスとして働く私」が誕生しました。

そこに広がっていたのは…

私がよーく知っている

「この世界には、いろんな人がいて、いろんなことをしている」

「世界は広くて、温かくて、おもしろい」

というドキドキワクワクするような世界でした。

皆さん、こんにちは。矢澤典子です。

こんな超個人的なエッセイを読んでくださり、誠にありがとうございます。

現在私は、『感動教材プランニング』というサービス名で、セミナー講師や教室経営者など「人に何かを教える仕事」をしている方を対象に、教材づくりをサポートしたり、教材の活用方法を伝えたりする仕事をしています。

2年前までは長らく会社員をしていて、何度か転職をしながら、「人に何かを伝えるための文章を書いたり資料を作ったりする仕事」と、「見えないコンテンツを教材や書籍などの見えるカタチにする仕事」に明け暮れる毎日を送っていました。

そんな会社員時代の経験が、今の私の仕事の土台にあるのですが、実はそれよりも前、もっと奥深いところにルーツがあるのです。

このエッセイは、教材によって生活の楽しみを見つけ、言葉を学び、世界とつながり、ついには生業を得ることとなった私の視点から、「教材の可能性」について書いたものです。

全編を通して、私の風変わりな半生を綴っていますが、あちこちに「教材を活用して講座を格上げするためのヒント」が隠れています。

きっと皆さんが想像する以上に、「教材」はパワフルでハートフル!

教材に魅せられた一人の人間の物語を通して、少しでも「教材の秘める力」を感じていただけたら幸いです。

2017年7月26日 矢澤典子

独立起業2周年によせて。

 

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※ 幼少期の記憶に基づいて記載しているため、時代背景や事象の解釈などが事実と異なる可能性があります。ご了承ください。