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受講生が動かない原因は「自分ごと化不足」

2025年9月25日

こんにちは。ニッチな分野の人材育成コンサルタントの矢澤です。

前回のコラムの続きです。

「受講生が思うように動いてくれない」という悩み

講座や研修を運営していると、こんな悩みを抱くことはありませんか?

  • 一生懸命に教えているのに、受講生がなかなか行動してくれない

  • 重要な知識は伝えたはずなのに、受講後に成果が見えない

  • フィードバックでは「分かりやすかった」と言われるのに、変化が感じられない

講師や指導者の多くが、一度は経験する壁だと思います。

このとき、私たちはつい「受講生のやる気が足りないのではないか」「受講生の基礎力に問題があるのでは」と考えてしまいがちです。あるいは「自分の教え方が悪かったのでは」と自信をなくす方もいます。

しかし実際には、それ以外に大きな要因が隠れていることがあります。

4つの学習フェーズ

前回の記事でご紹介したのが「4つの学習フェーズ」という考え方です。

受講生が行動変容を起こすためには、必ず次の4つの段階を踏む必要があります。

1️⃣ 知識習得

2️⃣ 自分ごと化

3️⃣ 実践

4️⃣ 習慣化(定着)

この流れが揃って初めて、学びが本当の意味で定着し、行動につながります。

“あるある”な不足フェーズは「自分ごと化」

これまで多くの講座設計や教材制作をサポートしてきて、私が強く実感していることがあります。

それは、多くの講座で「自分ごと化」のフェーズが十分に踏まれていない、という事実です。

「知識習得」や「実践」の機会は設けられていても、その間をつなぐ「自分ごと化」の設計が弱い。これが原因で受講生が動かない、というケースが非常に多いのです。

自分ごと化が欠けるとどうなるか?

「自分ごと化」が不足すると、受講生は次のような状態に陥ります。

  • 知識や情報は理解できた

  • 方法論も頭では分かっている

…でも、実践に結びつかない。行動が加速しない。

結果として何も変わらない。

講師からすると「必要なことは全部伝えたのに、なぜ?」と不思議に思う状況ですが、受講生にとっては「まだ自分のこととして落とし込めていない」ために動けないのです。

人は「自分にとっての意味」や「自分の文脈での使い方」が見えていないことは、なかなか実践に移せない傾向があります。

自分ごと化を促す2つの問い

では、どうすれば受講生に自分ごと化を促すことができるのでしょうか。

私がよく提案しているのは、次の2つのアプローチです。

1️⃣ アレンジ・カスタマイズを考えさせる

「学んだ知識やノウハウを、自分の状況(レベル感や関心)に合わせてやりやすくアレンジするとしたら、どんな方法がある?」

と問いかけることです。

同じ内容を学んでも、受講生の背景や環境は人それぞれ。自分にとって「使える形」に置き換えてみる作業が、自分ごと化の第一歩になります。

2️⃣ メリットや喜びをイメージさせる

「これを実践するとしたら、自分にはどんなメリットや嬉しいことがある?」

を具体的にイメージさせることです。

人は「こうなったら嬉しい」というポジティブな未来像を描けると、行動に向かうエネルギーが一気に高まります。逆にそのイメージが曖昧なままでは、「やったほうがいい」と分かっていても行動に移しづらいのです。

実践行動が加速する瞬間

この2つの問いを教材やワークに組み込むだけで、受講生の行動が一気に加速することはよくあります。

たとえばある研修では、ただ知識を教えるだけで終わっていたカリキュラムに、「自分の職場に当てはめるとどうなるか?」というワークを追加したところ、翌週から実際に現場での行動変容が見られた、というケースもあります。

「教えた内容をそのままやる」のではなく、「自分なりにアレンジしてみる」「やったときのメリットを思い描く」。

このちょっとした工夫が、受講生の行動を後押しする大きなカギになります。

まとめ|まずは「自分ごと化不足」を疑ってみる

もちろん、すべてのケースに当てはまるわけではありません。

しかし「自分ごと化の不足」が原因で受講生が動かないという状況は、驚くほど多いものです。

もし「受講生が思うように育たない」「行動してくれない」と感じる場面があれば、まずは「自分ごと化のフェーズが十分に設計されているか?」を確認してみてください。

次回の講座や研修に取り入れるだけでも、受講生の反応や行動が変わってくるはずです。

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